座長の言葉

循環器診療に携わる医療関係者にとって、心電図検査は診断におけるファーストステップと位置づけられている。心電図を正確に読むことができれば診療の幅が大きく広がる。心電図が正常かどうかの判断はある程度できても、一歩踏み込んだ判読あるいは心電図所見について助言できるまで理解している医療人は少ないように思われる。その理由は、心電図にはバリエーションがたくさんあり、心疾患あるいは不整脈ごとに特徴的な所見を知っていなければならないためである。どの学問においても王道はなく、地道に１つ１つ理解していくことがエキスパートになるための早道かもしれない。日本不整脈心電学会では毎年メディカルプロフェッショナル向けの心電図判読セミナーを開催している。今回「エキスパートになるための心電図レッスン」と題して、この領域に造詣が深い3人の先生方をお招きして講演していただくことにした。

原田智雄先生には、器質的心疾患や遺伝性不整脈疾患の12誘導心電図における特徴について、解説していただく予定である。次に、原田将英先生には、ホルターあるいはモニター心電図で認められる徐脈性あるいは頻脈性不整脈の見方について解説していただく予定である。最後に、因田恭也先生には、診断で使用される植込み型心電計や治療で用いられるペースメーカをはじめとした植込み型デバイスの適応とその実際について、解説していただく予定である。

臨床検査技師、看護師、薬剤師のみならず、心電図の判読を苦手にしている若手医師にも聴講を是非お勧めしたい。